【HIMS / ヒムズ株 売却】私が期待のグロース株を手放した5つの理由

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長期保有(2年)してきたHIMS & Hers Health ($HIMS) の株式を、

来月の決算発表を前に約57$で売却することを決断しました。

売った今でもすごく良い銘柄、信念を持っている会社と考えており、また4Q前にはINしたいと考えております。

 

利確については今年度の資産目標達成(目標約880万円)という個人的な目標もあり、

大きな含み益が出ているこのタイミングで一度利益を確定させたいという思いもありました。

しかし、それ以上に短期的な下落リスクが極めて高いと判断した理由が一応あります。

 

なぜ私がこのタイミングで売却という判断に至ったのか。

その背景にあるデータと、私なりの分析を整理します。

 

驚異的な精度の個人アナリストが「決算ミス」を予測

売却は、私がフォローしている個人アナリスト「The God Particle (@_Sgr_A_Star)」が発表した、第3四半期(Q3)の売上予測を更に私なりに考察した結果でした。

・彼のQ3最終予測: 5億4,070万ドル

・市場のコンセンサス予想: 約5億7,940万ドル

・会社自身のガイダンス: 5億7,000万ドル 〜 5億9,000万ドル

※GLP-1売上予測: 1億9,000万ドル〜1億9,500万ドル

彼の予測は、市場や会社の計画を大幅に下回るものでした。

 

決算予想詳細

2Qの各セグメント比率とXのGLP-1売上予測を使用してQ3の他セグメント売上を計算。

 

2025年 第2四半期 (Q2) の実績

・総売上: 5億4,480万ドル

・減量薬(GLP-1)の売上: 約1億9,000万ドル (全体の約35%)

・既存コア事業の売上: 約3億5,500万ドル (全体の約65%)

 

アナリストの予測(GLP-1以外)

5億4,070万ドル (3Q全体売上予想) – 1億9,500万ドル (3Q GLP-1売上予想) = 3億4,570万ドル

・Q2の「既存コア事業」の売上: 3億5,500万ドル

・Q3の予測(GLP-1以外): 3億4,570万ドル

 

このアナリストのモデルは、 「減量薬事業の成長が横ばいになるだけでなく、既存のコア事業(AGA治療、ED治療など)も、Q2からQ3にかけて失速、あるいは減少している

と予測していることを意味します。

つまり彼が示唆しているのは、単に『減量薬の勢いが落ちた』だけでなく、

会社全体の成長エンジンに、黄信号が灯っている』というメッセージと受け取りました。

 

※Q3には不確定要素が大きく2点含まれているので、後述しております。

 

アカウント(The God Particle (@_Sgr_A_Star)の予測実績

2Qの売上予測精度

  • 最終予測: 5億4,500万ドル
  • 実際の結果: 5億4,480万ドル

 誤差はわずか0.04%で、驚異的な精度

 

また$HIMSだけでなく、他の銘柄においても、これまで驚異的な精度を誇ってきました。(2025年Q2決算の実績)

  • $SOFI (ソーファイ): 予測 8.54億ドル → 結果 8.55億ドル (誤差0.1%)
  • $PLTR (パランティア): 予測 10.01億ドル → 結果 10.03億ドル (誤差0.2%)
  • $RIVN (リヴィアン): 予測 13.4億ドル → 結果 13.0億ドル (誤差3%)

売上予測については信頼してもいいのかなという印象。

 

予測の根拠とHIMSのビジネスモデルの「完璧な相性」

彼の予測は「オルタナティブデータ、具体的にはクレジットカードの決済データに基づいています。

$HIMSのビジネスは、顧客が毎月サブスクリプション料金をクレジットカードで支払う非常にシンプルなD2Cモデルです。

そのため、クレジットカード決済データを追跡することは、

ほぼリアルタイムで売上の動きを監視することに繋がります。この「ビジネスモデル」と「予測方法」の相性は良く、

彼の予測が今回も大きくは外さないと考えました。

 

予測が難しい四半期とも言及している

HIMSの3Qについて四半期は予測が難しいとも投稿しております。

では、売上予測を外す要因について考えていきましょう。

 

ZAVA買収による売上計上の「前倒し」

これが、アナリストの予測が外れる最大の可能性です。

・会計処理の複雑さ: M&A(企業の合併・買収)があった四半期の会計処理は非常に複雑です。

アナリストの外部モデルでは、ZAVAの売上がいつから、どのくらいの期間、どのように計上されるかを正確に予測するのは困難です。

・サプライズ要因: もし$HIMSの経営陣が、予想よりも早いタイミングで、あるいは予想よりも多くのZAVAの売上を第3四半期の決算に含めることができた場合、アナリストの予測は数千万ドル単位で上振れする可能性があります。

彼自身が「予測が最も難しい四半期」と言っているのは、まさにこの点を指しています。

 

個人的にはHIMSは未だに市場からは減量薬の会社というイメージが強い為、

市場の着目点は全体的な売り上げではなく、減量薬の売上成長率になると考察しております。

仮に売上5.4億が的中、ZAVAの売上を3.5千万ドル計上してコンセンサスをクリアしても、

市場の好感は得られにくい気もします・・・。

 

既存コア事業の底堅さ

アナリストのモデルは、「既存のコア事業(AGA、EDなど)が失速している」可能性を示唆していました。

しかし、もしこれがモデルの誤りであった場合、結果は大きく変わります。

新規顧客の伸び(アプリDL数など)が鈍化していても、既存の顧客がより高価な製品(パーソナライズされた処方など)にアップグレードしていれば、顧客単価(ARPU)が上昇し、売上全体の落ち込みをカバーできます。

クレジットカードデータだけでは、この顧客単価の変化を正確に捉えきれていない可能性があります。

 

以下、重要なポイント2点です。

顧客単価(ARPU)が上がっている場合、予測は難しくなるのか?

クレジットカードの決済データを分析すれば、全体の売上総額はある程度正確に予測できます。

アナリストの予測精度が高いのはそのためです。

しかし、その売上総額の「中身」を正確に把握するのは困難です。

売上総額 = 顧客数 × ARPUという計算式において、外部からは顧客数が伸び悩んでいるのか、それともARPUが伸び悩んでいる**のかを正確に区別できないのです。

アナリストのモデルは「9月後半に売上総額の伸びが鈍化した」ことを示していますが、その原因が「新規顧客の獲得ペースが落ちた」からなのか、「既存顧客の単価上昇ペースが落ちた」からなのかまでは分かりません。

投資家が知りたいのは後者の「ARPUが順調に伸びているか」です。これが企業の成長の質を示すからです。ここに、外部データ分析の限界と、決算発表で中身を確認する必要がある理由が存在します。

 

売上予測(5.4億ドル)が正しいと仮定して、$3000万ドル上振れるには顧客単価をいくらあげる必要がある?

はい、HIMSの顧客単価はこれまで一貫して右肩上がりで推移しています。これは、顧客がより高価なパーソナライズ処方や新しいサービス(減量薬など)を追加しているためです。

$3,000万ドルの売上を上乗せするには、現在の顧客数(2Q時点約240万人)で割ると、一人当たり約12.5ドルの単価上昇が必要です。

※ $30,000,000(予測売上からのコンセンサス売上不足額) ÷ 2,400,000人 (会員数)= $12.5

※$12.5÷3(売上計上月)=約$4.17

2Q時点の月間顧客単価が約79ドルなので、これが約83.2ドルまで上昇すれば達成できる計算です。

これは約5.3%の上昇に相当します。(会員数が増加すれば、更に少ない上昇でOK。)

 

過去の推移を見れば、それ自体は難しくない様に感じます。

※顧客単価(ARPU)推移

2024年 Q2: 67ドル

2024年 Q3: 70ドル (+4.48%)

2024年 Q4: 72ドル (+2.86%)

2025年 Q1: 76ドル (+5.56%)

2025年 Q2: 79ドル (+3.95%)

 

HIMS特有のボラティリティ

前回の決算

$HIMSは、市場の期待に応えられなかった時に株価が大きく下落しやすいという特徴があります。

(=市場からの期待が超絶に高い。)

前回の2025年第2四半期決算を振り返ってみましょう。

  • 会社ガイダンス: 5.35億〜5.45億ドル
  • 市場コンセンサス: 5.44億ドル
  • 実際の結果: 5.448億ドル

この結果は、ガイダンスの上限をクリアし、コンセンサスとほぼ一致する「良い決算」でした。しかし、減量薬事業の成長が(前期比で)わずかに鈍化したと見なされただけで、株価は翌日に-10%以上も下落しました。

今回は、コンセンサスをわずかに下回るどころか、会社ガイダンスの最低ライン(5.7億ドル)すら下回る「5.4億ドル」という予測が出ています。これが現実になれば、前回を遥かに超える下落が起きる可能性が極めて高いと判断しました。

 

良い意味でも悪い意味でも注目度が高い

更年期障害の薬を出した際、発表当日の10月15日、株価は前日の終値($54.02)から 約16.2%上昇 し、$62.76で取引を終えました。

↑発表時該当ツイート

 

また空売り比率が40%近い(2025年10月時点)銘柄のため、かなりしょうもない理由でも売却されます。

(おそらく目標価格が著しく低い機関投資家が空売っていると考えられるため、小さなバッドニュースで反応しがち)

 

実際に更年期薬発表後の翌々日(17日)

CEOのアンドリュー・デュダム氏が、約1,100万ドル(十数億円)相当の自社株を売却したことが10月16日の夜(取引終了後)にSEC(米国証券取引委員会)への提出書類で明らかになりました。

この売却は事前に計画されたものでしたが、更年期市場への参入という好材料が発表された直後のタイミングであったため、売却されたという風に言えますが、過敏に反応しすぎですよね・・・。

 

ニュースへの反応性がかなり高い。

決算の不安性が高いと考えた為、個人的には含み益があれば、手仕舞って様子見が安牌と考察。

 

結論

その後の動きだけ見れば売却して良かったです。

ただ個人的には2年以上保有した愛すべき銘柄なので、是非私の予想が大きく外れることを祈っております。

また次回のQ4決算はかなり強いと考えておりますので、永遠のさよならではなく、必ずまた帰ってきます。

 

その間はスイングだったり、色々試して成長して戻ってきます!